この記事では、「共感疲労」について症状や感じやすい人の特徴、ケアの方法をお伝えします。
「共感疲労」を知らいないという人はぜひ読んでみてください。
「共感します」
自分を肯定し受け入れてくれた気持ちになり、関係性が深くなる魔法の言葉
しかし、「共感疲労」というものがあることをご存知でしょうか。
共感疲労とは、
つらい体験や状況の人の苦悩や悲しみに寄り添いすぎてしまい、自分が体験したわけではなのに、自分自身の心もストレスを感じて辛くなってしまうことです。
ひどくなると無気力状態や身体的な症状に至ることもあります。
看護や介護などの仕事は、困りごとを抱える当事者をサポートすることが仕事であるため、共感疲労を感じやすい職種と言われています。
しかし日常生活においても、災害や事件、事故のニュースをみて、つらさや苦しさを感じてしまう現象も共感疲労によるものです。
もともとは看護師のバーンアウト(燃え尽き症候群)について言及したことが始まりと言われています。
その後アメリカの心理学者Charles Figleyが著書の中で「共感疲労(Compassion fatigue)」を定義しました。
当初はやはり医療従事者や心理カウンセラーなど他者を支援やケアする職業の人々に起こりやすいものと考えられていました。
しかし、2001年にアメリカで発生した同時多発テロや、2011年の東日本大震災など、テレビなどで繰り返し流される大惨事の映像を見ることで、心身に不調をきたす人が続出。
最近でも、コロナのパンデミックでの凄惨な現場、ロシアのウクライナ侵攻などの衝撃的な映像やニュースに影響を受け、共感疲労を引き起こす人が増加しているのです。
背景には、スマートフォンやSNSの普及によって、災害や事故のニュースを文字ではなく画像、映像で簡単に入手できること、そしてそれらを繰り返し閲覧できることが要因ともいわれています。
看護や介護職については研究も進んでいるので、ここではより広義での共感疲労についてまとめていきます。
共感疲労の主な症状
・無力感、絶望感、無気力感
・気持ちが不安定(イライラ、悲しい、急な無感情)
・身体的、心理的な疲労感
・ものごとが面倒になり距離を置きたくなる
・日常の出来事に対する喜び、楽しさが減少
これがひどい場合は、食欲や睡眠障害、吐き気、めまいなどの身体的な症状となって現れることもあります。
共感疲労を感じやすい人
これにはかなり個人差があります。
例えば、同じ事故に遭遇したり、同じニュースを見たとしても、ものごとの捉え方や感じ方は人によって様々です。
まったく意に介さない人もいれば、
共感するけど割り切っている人、
共感疲労になってしまう人がいます。
・親切で、相手に気を遣える(過ぎる)人
・感受性が高く、繊細な人
・基本的にネガティブ思考な人
・自信喪失気味な人
・好奇心旺盛な人
・責任感や社会的な使命感を強く持つ人
・仕事とプライベートの境界が曖昧な人
・過去に似た経験でトラウマを持つ人
共感疲労を感じてしまったら…
共感疲労は「繊細な人」「心の弱い人」がなるものと決めつけてはいけません。
どんな人でも、その出来事の内容やその時のこころの状態によって起きる可能性があります。
そして、それがきっかけとなって、うつ病や不安神経症、強迫性障害などに発展することも実際にあります。
上記のような疲労感を少しでも感じたら、
休息、睡眠、食事などの習慣が乱れないようまずは気を付けましょう。
その他にも
①デジタルデトックスをする
まさしく共感疲労の原因ともなっているスマホやPCなどから一定期間離れてみましょう。
そして離れる習慣を短時間でもつくりましょう。
②自分と距離を置く
多くの問題は自分が解決、コントロールできるものではなく、相手次第であるという気持ちを持ちましょう。
過度に期待することも危険です。
まずは自分の周りでできることから少しづつ。それで充分です。
③ネガティブな感情は外に出す
イライラや無力感を感じたときでも、優しい人ほど気軽に「愚痴」を言えないものです。
しかし自分の中に溜め込むのは危険です。
「誰かに話す」「書き出す」ことで、問題を外に出すようにしましょう。
そのうちに冷静な気持ちを取り戻すことができます。
④意識的にオンオフを切り替える
長時間勤務で休みが取れていない人はもちろん、最近ではリモートワークによって仕事とプライベートの境界が曖昧になってきています。
良いこともありますが、共感疲労は悪い方向に働いてしまっていますので、「定時を決める」「休日は一切スマホやPCを起動しない」など物理的に切り替えるルールを設けて距離を置きましょう。
共感は、つらい状況に置かれた人たちに心を寄せられる、人としてとても大切な感情です。
しかし、それは元気なあなたがあってこそです。
まず自分のケアを怠らないこと
自分のケアができて初めて、相手にケアを届けることができるということを忘れないでくださいね。